編集長より
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連絡先
takunori.hashimoto@sokyudo.com
ご挨拶
当サイトは、中小企業と地域金融がどうしたら生産性を向上させたり、或いは人口減少の進む厳しい地域でも生き残ることができるのかを考えるプラットフォームメディアです。
中小企業、地域金融、さらには地域を取り巻く政策、まちづくりに奮闘する有志、実践者、実務家、経営者が論稿、コラム記事、トピックスなどを発信、寄稿することを通じ、ユーザーが気づきや知見を得て、前に踏み出す「その一歩」を後押しする場です。必要な問題解決のため、専門家や事業者に相談する機会を提供するハブ、結節点でありたいと思います。
私は、時事通信社と共同通信社という2つの報道機関で計26年間、主に経済記者として「現場」にこだわって取材してきました。特に「捨てられる銀行」(講談社現代新書)を書き始めた2015年以降は、人口減少が深刻化する地域において、衰退の一途を辿る厳しい現実や創意工夫と挑戦で立ち向かう中小企業や地域金融機関をほぼ毎週、全国各地に足を運んで取材してきました。
ただ、大手メディアは、「紙面を埋めなければならない」という業務、日々起きる出来事への対応に追われ、十分に「現場、現物、現実の声」へ耳を傾けることはできません。また、「中立公平」「生徒でも理解できる分かりやすさ」が優先されます。しかし、ときに「中立公平」が目的化してしまうようなことがあります。また、「分かりやすく」が「短い文章で単純化」されるばかりでは、専門的な問題が複雑に入り組んだ現実、真相に迫り、核心を突くことができません。現場、現物、現実への理解が浅く、ちゃんとマスメディアが取材していないことを当事者たちは実は気づいています。
当サイトは、マス(大衆)メディアではありません。「現場、現物、現実の当事者が主役」という意味で、「独断と偏愛」にこだわります。ただし、あくまで個人運営ですので、至らぬ点はあろうかと思います。学びながら随時改善して参りますので、温かくお見守りください。
最後に当サイト「桑鳩堂」の由来について、ご紹介させていただきます。
私の曾祖父にあたる書道家、上田桑鳩の雅号から拝借しました。桑鳩は、前衛書道家で「日本経済新聞」という題字を揮毫したことで知られます。曾孫の私にとって、もっとも痛快であるのは、「品」(題名:愛)という作品の読み方をめぐって日展と対立し、芸術家にとって権威の象徴ともいえる日展を脱退したエピソードです。桑鳩は書の基礎として、古典臨書を非常に大切にしました。その上で、「書を芸術として解き放つためには、前例や型に縛られず、前衛であらねばならない」という気迫の決断をしたのです。当サイトは芸術領域ではありませんが、気構えにおいて、かくありたいと思います。
橋本 卓典
略歴
橋本卓典:はしもと・たくのり/1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1999年時事通信社入社。2001年から4年間、熊本支局。06年共同通信社入社。経済部記者として流通、証券、大手銀行、金融庁を担当。09年から2年間、広島支局に勤務。金融を軸足に幅広い経済ニュースを追う。15年以降、地域金融の取材、コロナ禍以降は中小企業取材にも力を入れる。
出演
ラジオNIKKEI「記事にできない 金融ウラ話 〜橋本卓典が語ります」:https://www.radionikkei.jp/urabana/
著作
- 捨てられる銀行 (講談社現代新書)
- 捨てられる銀行2 非産運用 (講談社現代新書)
- 捨てられる銀行3 未来の金融 「計測できない世界」を読む (講談社現代新書)
- 捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体 (講談社現代新書)
- 金融排除 地銀・信金信組が口を閉ざす不都合な真実 (幻冬舎新書)
- 地銀と中小企業の運命 (文春新書)
プロフィール
橋本 卓典(編集長)
金融・政策領域の取材と編集。地域と企業の課題解決を後押し。
関心領域:地域金融、HR、DX、公共政策
専門家への相談について
当サイトでは、編集長橋本卓典が実際に取材し、信頼できる専門家、企業だけをご紹介していますが、相談、契約は当事者同士でお任せしております。よって、相談、契約に伴うトラブルなど、一切の責任は負いかねます。案件相談は自己責任でお願い致します。
新着記事一覧
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◎「未来志向融資」の企業価値担保権は何を変えるのか=金融庁キーパーソン鼎談・備忘録(企業価値担保権②)
企業価値担保権
昨日(2025年11月12日)は、ジンテック主催のセミナーで追手門学院大の水野浩児教授、金融庁の水谷登美男事業性融資推進室長と鼎談した。2026年5月26日から始まる企業価値担保権で、参考となる話が出たので備忘録として記す。
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事業性融資の結実ともいえる企業価値担保権の誕生と魅力
地域金融の課題
企業価値担保権を定めた事業性融資推進法は、不動産担保と個人保証に依存したこれまでの融資慣行を是正するよう求めている。 企業価値担保権は、不動産や動産のみならず将来キャッシュ・フローなどを含むすべての資産をまとめて担保に設定することができるようになる。設定する金融機関にはメイン行としての覚悟が求められる。 コベナンツを上手に活用することで効果的なモニタリング機能の発揮が期待され、金融機関と事業者の「情報の非対称性」が大きく軽減されることが予想される。そのため、与信・予兆管理の質が飛躍的に改善され、より効果的な事業者支援が実現できる。 加えて、将来キャッシュ・フローを含む全資産が担保となることから、(担保権者としての)金融機関が事業者を伴走して企業価値を向上させることになる。企業価値担保権という仕組みを利用して事業者支援をおこなうことで、金融機関にとっても事業成長がより自分事になる。事業者の利益と金融機関の利益が完全に一致する「共通価値創造のための担保」だ。 事業者を「生かすための担保」とも言い換えられる。
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◎情報共有サイトWA.SA.Bi.から見える外国人材の課題とは=森興産の挑戦②
中小企業の課題
外国人材支援の森興産が2015年にサービスを開始したのが、外国人向け多言語情報共有サイト「WA.SA.Bi.(わさび)」だ。登録ユーザーは約2万1000人、国籍は136国・地域出身にも及ぶ。 森隼人社長が「10年前とコンセプトは何も変わりません。『郷に入っては郷に従え』の前に、先に郷へ入った外国人がこれから入る外国人に日本の社会生活を教えてあげられる『コミュニティー』をつくりたかったのです」と語るのがWA.SA.Bi.である。なぜ「郷に入る前」が重要なのか。その背景を掘り下げると、日本における「外国人材の課題」がみえてくる。