◎外国人材「定着」「高度人材」めぐるギャップを埋めるには=森興産⑬
人材不足は特に地方に行くほど深刻の一途だ。
特にホテル、コンビニ、介護、製造業の現場では、もはや外国人労働者抜きではまわらないのが実状である。
そうした姿を見ていて思い浮かぶのは「大都市圏で暮らすことへの憧れはないのか」という素朴な疑問である。感性は日本の若者と何ら変わりないはず。また、逆に地方に残ることにも何らかの理由があるはずだ。
今回は、どうしたら外国人材を地域に定着・定住させられるのか。その要諦と、知っておかなければならない「人材ギャップ」の構造を森興産の森隼人社長に聞いた。
- 2026年9月29日
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◎外国人材「定着」「高度人材」めぐるギャップを埋めるには=森興産⑬
人材不足は特に地方に行くほど深刻の一途だ。
特にホテル、コンビニ、介護、製造業の現場では、もはや外国人労働者抜きではまわらないのが実状である。
そうした姿を見ていて思い浮かぶのは「大都市圏で暮らすことへの憧れはないのか」という素朴な疑問である。感性は日本の若者と何ら変わりないはず。また、逆に地方に残ることにも何らかの理由があるはずだ。
今回は、どうしたら外国人材を地域に定着・定住させられるのか。その要諦と、知っておかなければならない「人材ギャップ」の構造を森興産の森隼人社長に聞いた。
▽「よさこい踊り」「盆踊り」が大切なワケ
「ベトナムの日本語学習者の間では『よさこい踊り』『盆踊り』が流行っているんです」と、森社長は話す。
森社長によれば、こうした地域独自、地元ならではの祭りや伝統行事に親しんでもらうことが「定着・定住」において非常に重要なファクターになるという。
町内会の盆踊り、和太鼓などの伝統行事への参加は、外国人の孤独化を防ぎ、行事自体への愛着、ひいては地域愛を育みやすいからだ。
外国人に語学を教えることは大前提だが、それにとどまらず「なぜ人は定着・定住するのか」まで掘り下げて手を打つべきなのは、国内・海外を問わず若者の心理面を踏まえれば、当たり前の話である。
▽地域を離れる理由
森社長は「外国人材が地域を離れる理由は、大きく2つあります」と指摘する。
まず賃金格差だ。首都圏と地方の給与格差は日本人のみならず、外国人の若者にとっても大きな意味を持つ。
新卒では1・5倍近い給与格差もある。言うまでもなく、地方は競争条件として不利だという大前提に立って考えなければならない。これは日本人の若者にとっても共通している。つまり、取り立てて地元に残る理由がなければ、首都圏に移ってしまうことは十分にありえるのだ。
問題は2番目の理由だ。
森社長によれば「コミュニティです。母国出身者のコミュニティがない。そして、日本社会との接点もないことによる孤立・孤独です」という。
つまり、外国人材の定着・定住をサポートするには、母国出身者のコミュニティ形成をどうサポートし、同時に地元ならではの行事にどう巻き込み、愛着をもってくれるかが鍵となってくるのだ。
▽高度人材と現場職のギャップ
今や、外国人材を求める地方自治体は珍しくない。
ただ、「『高度人材』を重視する自治体の意向と、『現場職』が足りていない民間とのギャップがあります」と森社長は語る。
議会や世論への配慮からか、「高度人材に限った外国人材の確保」を志向する自治体が多いのだ。
一方、製造業、農林水産、サービス、建設業などでは、特定技能などの「現場職」では人手不足で稼働・操業を抑制しなければならない事態となっているところもある。供給制約による生産抑制だ。
現場職と一口にいっても、人気・不人気の業種に分かれる。たとえば、衛生的で空調が効いた場所で作業ができる食料品製造などは比較的人気だ。暑くて不衛生であれば、働きたくないのは誰でも同じである。現場職と一括りにせず、解像度を高めて見なければ実態には迫れない。
▽外国人雇用の現状
厚労省の「外国人雇用状況」によれば、2015年10月末は全国約580万事業所のうち、外国人を雇用している事業所は約15万事業所(約2.6%)に過ぎなかった。
一方、2025年10月末では、約500万事業所のうち約37万事業所で全事業所の7.3%に増加したが、それでも9割以上の事業所が外国人を雇用していないという。外国人労働者はこの10年で、約90万人から257万人へと3倍弱まで増えた。
大都市圏で雇用に困っていない業種であれば別だが、地方企業で受け入れ経験がないということは外国人雇用のノウハウ・知見が不足していることの裏返しでもある。
▽業種偏在
外国人材は、業種別の偏在もある。
「即戦力」とされる特定技能1号の在留人数(2026年6月末)は、受け入れを停止した「外食」が1号在留人数4万9060人で、受入充足率が98.1%でトップ。飲食料品製造業が約10万769人で75.5%、建設業が約5万2132人の68.6%と続く。
下位では、木材産業が74人の1.6%、林業が19人の2.1%、鉄道が64人の2.2%、自動車運送業が558人の2.5%となっている。
こうした偏在をどう埋めていくのかも大きな課題だ。同じ給料なら「働きやすい環境」に人は集まる。
2026年4月からは、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環(産業廃棄物の中間処理)が新分野として枠組みに追加される。特定技能制度を活用する分野は今後も拡大すると予測される一方で、制度の認知度向上、受け入れ態勢の構築には時間を要するだろう。
自治体や企業は、ただ外国人材の募集をかけるのではなく、地方ならではの生活環境や地域愛とセットで、作業環境の改善、情報発信を行っていくことが業種偏在と地域流出を解消する鍵となるはずだ。