◎「まずAIに相談」の時代=中小企業の活性化協議会相談に異変か
◎「まずAIに相談」の時代=中小企業の活性化協議会相談に異変か
中小企業活性化協議会に寄せられる中小企業の相談で異変が生じている。AIに相談したところ、活性化協議会に行くことを勧められたのだという。複数の協議会関係者から同じ話を聞いた。
中小企業が事業再生に向けて自発的に動くのは歓迎するところだが、人に相談するよりもAIに相談している時点で、これまでの「常識」は大きく変わってきている。
一事が万事である。複数の事案が活性化協議会で同時に生じているということは、「AI相談予備軍」は予想以上に多いと考えるべきだ。今後、中小企業支援の現場で想定されることは何か。本コラムで解説する。
- 2026年10月22日
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◎「まずAIに相談」の時代=中小企業の活性化協議会相談に異変か
中小企業活性化協議会に寄せられる中小企業の相談で異変が生じている。AIに相談したところ、活性化協議会に行くことを勧められたのだという。複数の協議会関係者から同じ話を聞いた。
中小企業が事業再生に向けて自発的に動くのは歓迎するところだが、人に相談するよりもAIに相談している時点で、これまでの「常識」は大きく変わってきている。
一事が万事である。複数の事案が活性化協議会で同時に生じているということは、「AI相談予備軍」は予想以上に多いと考えるべきだ。今後、中小企業支援の現場で想定されることは何か。本コラムで解説する。
▽心理的安全性は「人」ではなく「AI」に軍配
なぜ企業経営者は「人」ではなく「AI」に悩みを打ち明けたのか。
経営責任を感じ、プライドを傷つけられるのではないかと恐怖を抱いた経営者が、安心して相談したのは顧問税理士でもメインバンクでもなく、AIだったということになる。
人に相談したことによる叱責、冷たい目線、責任追及を受けるリスクを回避したかったのだと推察される。
人は心理的安全性において、ある領域ではAIに敗れているのかもしれない。
「売上が●割減少し、借入金が●円ある」と経営データを打ち込めば、「あと何カ月で資金が尽きるか」をAIは冷静に教えてくれる。そこで「活性化協議会に相談するように」とアドバイスを受けたに違いない。
▽AIのSEO対策の方が有効?
政府はこれまで金融機関や企業支援機関に、業況不振企業に対して早期再生の必要性を訴えてきたが、「これ以上の損失計上は避けたい」「貸倒引当金は計上済みなので、これ以上は何もしなくていい」という金融機関の内部事情が優先されてきた。
再生が必要な中小企業は40万社とされるが、実際に再生手続きに入った企業は圧倒的に少ない。
この実態は、皮肉にも金融機関を説得するよりも、AIのSEO対策に取り組んだ方が、政府の中小企業政策として有効かもしれないことを物語っている。
▽何がどう変わるのか
AI相談が中小企業の「入口」「接点」となると、中小企業経営者の行動、中小企業支援はどう変わるか。
まず、従来のメインバンク主導で進めてきた事案でないとすると、ある程度、AIとの壁打ちを済ませて活性化協議会にやってくる可能性がある。
だとすれば、初動のヒアリングはスムーズに進むかもしれない。
ただ、金融調整という人同士の利害が絡む協議に関しては、十分にAIから「重み」「難しさ」を学んでいるのかは不明だ。「活性化協議会は債権放棄を決める場です」という単純化された情報を経営者が鵜呑みにしているとしたら、危うい。
しかもメインバンクとしては、事前の相談なしに企業が直接持ち込んだことで協議会主導の調整が始まるのを、面白く思わないおそれもある。
人が決める合意形成は泥臭い。ましてや、債権放棄が金融機関にとってどういう意味を持つのかを理解せぬまま活性化協議会に駆け込むということは、その後の金融機関との関係性にもよくない影響を及ぼしかねない。
▽伴走AI時代
だが、それも含めて伴走AIの時代だ。
伴走支援を掲げている金融機関が、「再生」という企業にとっては切実な問題でAIに後れを取るということもありうるのだ。皮肉な話である。
人ではなく、AIが「行動喚起」のきっかけをつくり、人がその泥をかぶる作業をするとしたらどうだろうか。
AIが「気づき」や「行動のトリガー」を与え、人間が時間と労力を要する「利害調整」や「痛みを分かち合う合意」を担う、という分業の形だ。
これが効率化かと問われれば疑問だが、実社会ではこういう現象が生じている。AIに相談して、行動に移す人のことを冷笑できない時代に踏み込んでいるのではないか。 事業再生だけでなく、あらゆる消費者、購買者、生活者がAIに問い、行動するとしたら、金融機関はどういう存在になるのか。どうしたらAIに推奨されるのだろうか。